XRソリューション 住友商事マシネックス

COLUMN

XRソリューション コラム

現場の緊急トラブル対応に

XRソリューションで遠隔支援



いつどこで起こるかわからない現場のトラブル。ビルメンテナンスや管理業務を中心に行う企業にとって、トラブルを解決できる人員が現場に配置できるとは限らないため、緊急対応は大きな悩みの1つです。このような状況で近年注目を浴びているのが、現実世界と仮想世界を融合するXRソリューション。現場作業の遠隔支援に最適なMRデバイス「HoloLens」は、熟練者がそばで指導しているかのように現場作業者を補助することができます。


慢性的な人材不足に起因する現場の緊急対応

ビルメンテナンス業や製造業など、現場でのトラブルへの緊急対応はつきものといえます。例えば、電気設備や空調装置に何か問題が発生した場合、お客様から対応要請が来ることは必至で、すぐに状況を確認するとともに、問題の解決に向けて動き出す必要があります。また、現場が遠隔地にある製造業などは、状況を確認するために即座に訪問して的確な指示を出することが難しく、対応が後手に回ってしまうケースもあるかもしれません。

そして、現在置かれているような新型コロナウイルスの感染拡大の影響のもとでは、人の移動自体が制限されかねません。事態を打開できるキープレイヤーを送りこむことが容易ではない状況がますます増えています。

現場作業を支援するのはXRソリューション

こうした課題に対して、現場作業の課題を解決するキーポイントになるのが、XRソリューションです。

XRとは、正式にはExtended Realityといい、現実世界と仮想世界を融合するテクノロジーです。人が実際に存在しない空間を体験できたり、物理的な環境のなかに実際にはそこに存在しないものを表示したりすることができます。XRは、さらにVR(仮想現実)、MR(複合現実)、AR(拡張現実)という3つに分類することができます。


VR(VirtualReality)は、VRデバイス内に仮想現実を表示し、あたかもそこにいるかのような体験をさせる技術です。

一方、AR(Augmented Reality)は、スマートグラスやタブレットを介して、実空間にデジタルコンテンツを表示する技術です。

さらにMR(MixedReality)は、MRヘッドマウントディスプレイを使用して、実空間に投影したデジタルコンテンツを操作することができる技術です。

現場の作業でXRソリューションを活用することで、担当者が現場の内部構造や設備位置に詳しくないというときに、経路を案内したり、現場の中で自分のいる位置を把握したりすることができるようになります。点検記録が必要なら、画像を含めて点検結果を取得するといったことも行えるなど、実にさまざまな角度から現場作業者のナレッジやスキルを補うことが可能です。

XRソリューションで現場作業の遠隔支援

現場における緊急のトラブル対応のように、迅速な人的支援が求められるケースでは、どのようなXRソリューションが適しているのでしょうか。そのなかで、昨今注目を浴びているのが、ヘッドマウントディスプレイ方式のMRウェアラブルコンピュータ「HoloLens」(Microsoft HoloLens)での遠隔支援です。

「HoloLens」は、マイクロソフト社によって開発されたデバイスです。現在の最新バージョンは「HoloLens 2」で、いわゆる「メガネ」型デバイスの中では体へのフィット感が高いのが特長です。装着して動いてもズレたり外れたりしにくいため、現場作業に適しているといえます。

「HoloLens」によるXRソリューションは、現場作業の遠隔支援を強力に後押しします。例えば、現場の映像を本部のPCに送ることで、そこにいる熟練者が映像を見ながら現場作業者に指示を出すことができます。

必要であればヘッドマウントディスプレイに動画やマニュアルファイルを表示させることもできます。それらは熟練者側のPC上でも見られるため、熟練者と現場作業者が同じ動画やマニュアルを共有して作業を進められます。さらに、このソリューションは複数名での利用も可能で、少し規模の大きな現場作業を同じマニュアルを見ながらチームで対応するということも可能です。


XRソリューションの活用で広がる可能性。そこで映し出される現場の映像を通して、どこからでも場所を問わず現場を遠隔支援できる体制が整います。例えば、現場の巡回などを新人に任せた場合、熟練者がタイムリーにバックアップできるということで、企業にとっても、現場作業者や熟練者にとっても大きなメリットがあります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で見直さざるを得なくなっている現場への人材配置、これを最適化する観点でもぜひ検討したい解決策です。