CO₂排出量を約96%、廃棄物を75%削減する
中性能フィルター洗浄サービス環境対応とコスト削減を両立するサステナブルな空調フィルター運用
大規模ビルや商業施設、物流倉庫、データセンターといった大型施設の空調設備には、空気中の細かな粉塵や花粉などの微粒子を捕集する中性能フィルターが使われている。大量のフィルターが利用されているが、従来これらは洗浄が困難なため毎年のように廃棄されていた。環境面でもコスト面でもムダが多いこの運用方法に対し、当社は洗浄サービスを提供。新品交換に比べCO₂排出量を約96%、廃棄物を75%削減する。
環境貢献とコスト削減を初期投資なく実現できる中性能フィルター洗浄サービスを、実務責任者が紹介する。

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設備システム本部 東日本設備システム部
建築設備イノベーションチーム チーム長神原 太2020年9月にキャリア採用で住友商事マシネックス株式会社に入社。以前は集合住宅やオフィス設備の維持管理や改修工事を行う企業で、14年間勤務していた。入社後は設備機器の販売に従事。印象に残る仕事として、大型データセンターでの海外製空調機器の納入がある。コロナ禍で対面制限や物流問題など多くの課題を抱える中、複数の立ち会い検査をクリアし無事納入・稼働できた。2023年11月に建築設備イノベーションチームに異動。2025年からチーム長を務める。
空調フィルターの洗浄・再生で、
環境対応とコスト削減に貢献
設備システム本部は、空調や照明、昇降機といった大規模ビルや物流倉庫などの建築物に必要な設備機器を販売しています。そのなかで建築設備イノベーションチームは、それらの設備から派生するサービスを提供したり、近年建築現場で課題となっている働き方改革に向けたDXのためのソリューションを提供したりする、新規事業に取り組んでいるチームです。
そのなかの商材の1つに中性能フィルター洗浄サービスがあります。中性能フィルターは大規模施設の空調設備に必要なエアハンドリングユニットで利用されるフィルターで、空調機本体に装備されたプレフィルターでは除去しきれない細かな粉塵や花粉といった微粒子を捕集するフィルターです。大規模設備ではかなりの枚数が使われており、例えば当社が入る住友商事竹橋ビル(延床面積:46,479㎡、地上16階・地下4階)では、約200枚使用しています。
この中性能フィルターは1~2年程度で交換が必要ですが、多くが使い捨てされています。概算ですが、全国で年間1万トン程度廃棄されており、環境負荷の面で課題となっています。交換品の新規導入には費用もかかるので、コスト面でも課題です。しかも石油由来の製品なので、昨今の不安定な世界情勢からさらなるコスト増も懸念されます。
中性能フィルター洗浄サービスは、このような課題のある中性能フィルターを洗浄することで、繰り返し利用できるようにするサービスです。
中性能フィルターについて

従来、産業廃棄物として捨てられていた空調機内の中性能フィルターを超音波で洗浄しリサイクル&リユースを実現します。

洗浄工程

フィルター洗浄で
廃棄物も購入費用も4分の1に
中性能フィルター洗浄サービスでは、超音波を使い頑固な汚れを除去します。3回の洗浄を保証しています。洗浄後は抗菌処理を行い、圧力損失試験を実施。日本空気清浄協会基準に基づき、新品初期値の90%以上への回復を判断基準としており、報告書も提出します。例はありませんが万一性能が回復しなければ、新品保証を行います。利用を開始すると、2枚のフィルターを隔年で8年間ご利用いただくイメージです。
これにより、従来毎年のように廃棄していたフィルターを、8年間で2枚に抑えることができるので、中性能フィルターの購入費用も4分の1に下がります。同時に廃棄物も4分の1に抑制(12.8t → 3.2t、9.6tの削減/400枚・1枚約4kg換算)できます。新たな製品製造にかかるエネルギー消費も抑制できることから、CO₂排出量は新品交換に比べ約96%削減(フィルター1枚あたり 製造44.84kg-CO₂→ 洗浄1.719kg-CO₂)できます。中性能フィルター400枚規模で、製造・廃棄工程をあわせて約20tのCO₂削減に貢献できる計算です。
温室効果ガスの排出量に関しては、2027年から一部の企業で開示義務が課される流れとなっているSCOPE3として記載可能です。中小企業であっても、これらの大企業と取引がある企業は開示する必要があるため、自社の環境対応へのアピールにつながります。
従来のCO₂削減の取り組みは、ほとんどが再生エネルギー発電システムの導入など費用を払って行ってきました。しかし、中性能フィルター洗浄サービスは既に利用しているものを再生して使い回す取り組みなので、コストを下げながら環境負荷を軽減できます。これまでの日本は大量生産・大量廃棄の時代でしたが、もうそういう時代ではありません。使えるものを洗って使い続ける。当たり前のことを、大規模施設の空調でも実現していきます。
フィルター作成工程におけるCO2排出量とフィルター洗浄時に発生するCO2排出量

フィルター洗浄時による廃棄物の削減

トリトンスクエアから四半世紀
― 環境意識の高いデベロッパーへ採用が広がる
このサービスに最初に取り組んだのは、住友商事が東京・晴海のトリトンスクエアを再開発した1999年に遡ります。開発にあたって廃棄物をなくすという住友商事の強い思いがあり、それに応えるべく実現しました。
それから四半世紀が経ちますが、実は業界含めその認知度はあまり高まっていません。長年の商流のなかで「フィルターは使い捨てるもの」が常識として定着しており、紹介してもなかなか採用に至らないのが現状です。この現状を変えることへのハードルは決して低くありません。
一方でコスト削減や環境対応への要求は、社会全体で高まっています。そこで当社でも2024年から改めて、中性能フィルター洗浄サービスの拡販に本格的に取り組み始めました。
最近は管理会社だけでなく、より上流のゼネコンやサブコン、デベロッパーなどに対し、サービスの概要やメリットをご紹介する活動を始めました。
この活動によって環境意識の高いデベロッパーに気に入っていただき、新規の開発案件について配下の管理会社にご紹介いただくことができました。
ただ、ご紹介いただいた管理会社様も、最初から前向きだったわけではありません。日々の維持管理に責任を持つ立場からすれば、「洗浄したフィルターで本当に大丈夫なのか」という心配があるのは当然です。そこで「まずは1件導入して、様子を見ましょう」というところから始めていただきました。実際に洗浄報告書で性能の回復をご確認いただきながら実績を重ねるうちに、既存の他のビルへの展開もご検討いただけるようになっています。また、新たに大型の都市開発案件で導入が決まるなど、手応えを感じているところです。現在は首都圏での活動がほとんどなので、今後全国に広げていきたいです。
洗浄後他の対応。販売した洗浄タイプのフィルターに関しては3回の洗浄保証を付与


コスト削減と環境対応
― 管理会社の差別化にもつながる
中性能フィルター洗浄サービスは、既存の設備を生かしてオペレーションを変えることで、追加投資をすることなくコストを下げながら環境対応が実現します。フィルターにはさまざまな材質があり、現在お使いのものが洗浄に適さない場合もあります。その場合は、まず洗浄可能なタイプのフィルターへの入れ替えをご提案し、次の交換タイミングから洗浄の運用に入っていただきます。どのような設備からでも始められるサービスです。様々な資材が高騰する中で、管理会社にとってもコスト削減につながります。オーナーやデベロッパーなどのお客様に対し、コスト面でも環境面でもアピールでき、他社との差別化につながります。これまでの慣習もあると思いますが、ぜひ検討いただきたいです。
大規模設備においてフィルターは小さな部材ですが、積み重ねが大事だと思っています。導入いただければ目に見える効果を実感いただけると自負しているので、我々にできることを一つずつ意識高く取り組んでいきます。

次なる挑戦
第4回・COMING SOON
